治療を行う前に、まずは機能性ディスペプシアであるということを確定させるために検査を行う必要があります。
診療の際には、症状の現れ方や症状の経過、食事との関係、体重減少の有無などを問診していきます。
機能性ディスペプシアかどうかを診断する検査としては、胃の内視鏡検査、ピロリ菌感染の検査、必要に応じて血液検査や超音波検査、腹部CT検査などを行います。これらの検査を行うことで胃がんや胃潰瘍ではないこと、ピロリ菌に感染してはいないことなどを確認します。これらすべての検査を行って異常がなかった場合は、機能性ディスペプシアという診断のもとで、治療を行います。
機能性ディスペプシアの治療は、内服薬で行います。胃酸の分泌を抑制する酸分泌抑制薬や、胃の働きをよくする消化管運動改善薬を用いて治療を行うことが一般的です。また、抗不安薬や抗うつ薬、漢方薬にも症状を軽減する効果があるといわれますが、日本では充分な裏付けがとれてはいません。そのため治療方法の優先順位としては、酸分泌抑制薬や消化管運動改善薬、次に抗不安薬や抗うつ薬、漢方などとなっています。誰でもが1つの薬剤で効果があるとは限らないため、その患者さんに合った内服薬を選択していきます。
2013年より世界で初めて機能性ディスペプシアへの適応をもつ薬剤として、日本で開発されたアコチアミド(アコファイド®)が発売されました。特に食後の胃もたれや早期飽満感、胃の張りを感じる方に、効果が期待できる薬剤です。
これらの薬剤を服用しても症状の改善が見られなかった場合は、抗不安薬や抗うつ薬を使用して、精神面からくる胃の症状を和らげます。ピロリ菌に感染している場合にはピロリ菌の除菌治療を行います。
治療によって、一旦は完全に症状がなくなった場合でも、数ヵ月のあいだに5人に1人程度の割合で再発するといわれています。この理由については、まだはっきりとはわかっていません。