下痢は、「1日の糞便中の水分量が200ml以上(または、1日の糞便の重量が200g以上)と定義されています。腸の働きが正常な場合、食事などで摂取した食べ物は10時間ほどでS状結腸にたどりつき、ここで消化された食べ物から水分が吸収され、適度な固さの便がつくられるようになっています。しかし、何らかの原因により水分を吸収するはたらきが上手くいかなくなると、水分の多い便が出る「下痢」となってしまうのです。
下痢になる原因は下痢の種類によっていろいろなものがありますが、主に5つの種類に分類することができます。
【浸透圧性下痢】
水分を引き付ける力である浸透圧が高い食べ物を食べたことによって腸で水分がきちんと吸収されず、下痢便となるタイプです。人工甘味料の摂り過ぎ、糖分の消化不良、牛乳の摂りすぎなどにより、下痢をするのがこのタイプです。
【分泌性下痢】
腸管内での分泌液が増えることによって起こります。腸に入った細菌による毒素やホルモンの影響など、いろいろな原因が考えられます。感染性胃腸炎や生理中の下痢などがこれにあたります。
【ぜん動運動性下痢】
便が腸を通過する時間が短いことで起こる下痢です。過敏性腸症候群やバセドウ病などの甲状腺の病気の場合に起こりやすい下痢です。
【滲出性下痢】
腸に炎症が起こったことによって、血液成分や細胞内の液体などが滲み出たり、腸からの水分吸収が低下したりすることで引き起こされる下痢です。クローン病や潰瘍性大腸炎が関係することが考えられています。
その他にも、慢性膵炎や糖尿病の合併症、薬の副作用などで起こると考えられています。